乳酸菌で病気予防

乳酸菌でピロリ菌対策

「乳酸菌でピロリ菌対策」はどのようにしてわかったのでしょうか

日本には現在約5000万人の方がピロリ菌に感染しております。
2014年に国際がん研究機関が胃がんの80%はピロリ菌の感染が原因であることを報告しました。
ピロリ菌に感染して胃潰瘍などを発症した方には、ピロリ菌の除菌法として抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬の投与を行っています。
しかし、抗生物質の投与には耐性ピロリ菌をつくりだして除菌成功率を下げるという弱点があります。
また、ピロリ菌保菌者は非保菌者に比べて胃潰瘍・胃がんの発症確率が高いことから、症状の出ていないピロリ菌保菌者への対策も考えなければなりません。
しかし、保菌者全員に抗生物質を投与すれば、膨大な医療コストがかかり、さらに多くの耐性菌をつくだすことになりますので現実的ではありません。

そのような中で東海大学の古賀先生と明治乳業の共同研究グループが、ピロリ菌に感染した動物を作製しているプロセスでピロリ菌感染者に対してプロバイオティクスの効果を利用する方法を見出しました。
プロバイオティクスとは腸内フローラの腸内細菌のバランスを改善して我々のからだに利益をもたらす微生物のことであり、乳酸菌もその良い例です。
プロバイオティクスの条件として次のようなものがあります。

  • 胃酸などによって消化されないで腸まで到達する
  • 腸の中で増殖できる
  • 腸内の腐敗物質を減少させる効果がある
  • 抗菌性物質をつくり、病原性を抑える
  • 食品・医薬品として安全性がある
  • 簡単に摂取できる

  • 抗生物質(アンチバイオテクス)がからだにとって悪い病原菌を殺してからだを守るという考え方ですが、プロバイオティクスはについてからだに良い菌を増やしてからだの健康を守るという考え方から提唱されています。
    そしてこのプロバイオティクス考え方は腸内だけではなく、口内・胃の中などにも適用されることがわかっています。
    古賀先生らは、普通のマウスに大量のピロリ菌を摂取してピロリ菌感染を発症させようとしましたが失敗しました。
    原因と調べると胃の中に乳酸菌が存在していることがわかりました。
    実は、人間の胃の中の酸性度(pH1~2)と違ってマウスの胃の中の酸性度(pH4)が低いため、乳酸菌が常在菌として住みついていることが判明したのです。
    このことは、乳酸菌によってピロリ菌の感染が抑制されているのはないかという推論のもとに、無菌マウスにピロリ菌を摂取させるとピロリ菌に感染したことからこの推論が立証されました。
    これを人間に応用するには、プロバイオティクス効果の発揮のために人間の胃内の強酸性に耐えられて、胃の中に滞留し、安全性をもち、日常的に継続的に摂取する食品形態であることが必要です。

    プロバイオティクス効果を発揮してピロリ菌の抑制効果を示す菌を探すために、共同研究グループはラクトバチルス属の乳酸菌203株を対象にして、次の条件の当てはまる株を探しました。

  • 安全性があり、副作用がない
  • 胃酸に耐えられて、胃の中に住みつける
  • 胃の上皮細胞につき、胃の中に長くとどまれる
  • 少量の栄養でも増殖能力が高い
  • ピロリ菌に対する殺菌作用のある乳酸を多量に産生する

  • さまざまな動物実験、人間への臨床試験の結果、ラクトバチルス属ガゼリOLL2716株(LG21)が条件に最も適合してピロリ菌の抑制効果を発揮することがわかりました。

    ピロリ菌対策として効果のある乳酸菌の食品とは何ですか

    東海大学・明治乳業の共同研究グループはプロバイオティクス効果のあるLG21をどのような食品として販売するのが良いかについても研究して最終的にヨーグルトの形を提案しました。
    その理由は次のようなことからです。

  • ヨーグルトの中でLG21のもつ働きを維持しやすい
  • ヨーグルトに含まれるたんぱく質とまぜることによってLG21が胃の中に残りやすい
  • ヨーグルトの効果によりLG21が胃の名で生存率は高い
  • 手軽に食べることができ、継続的に食生活に取り入れやすい

  • このように食品にすることで、継続的に摂取しても副作用がないことも大きなメリットであるといえます。
    LG21以外でも最近ではロイテリ菌・BF-1株などもピロリ菌の抑制効果があることがわかっています。

    プロバイオティクス効果を発揮するには、次のようなことを守ってください。

  • 抗生物質と併用して摂取するとさらに効果がある
  • 食物繊維・オリゴ糖を含む食材を摂取した食後にとる
  • 少なくとも1ケ月以上は継続的に摂取する

実際の研究でも、LG21乳酸菌ヨーグルトを31人にピロリ菌感染者に1日2個を60日食べてもらった結果、24人の患者からピロリ菌が減少して胃炎の症状も改善したという報告もあります。